「最短ルート」を探したくなる心理
目標に向かって進もうとするとき、僕たちはつい「最短ルート」や「誰かの成功法則」を探してしまいます。
でも、実際に冬の雪山を歩いた経験から言えるのは、それがどれほど危険な考えかということです。
1. 消える参道、現れる新雪
山には先人が作ってくれた「参道」があります。
でも、冬の雪山ではそんなものは通用しません。
一晩雪が降れば道は一瞬で消え、視界は真っ白になります。
これは、ビジネスや人生の目標達成でも同じです。
昨日まで誰かが成功していたルートが、今の自分にとっても正解である保証なんてどこにもありません。
環境は常に変わるし、予期せぬ「雪崩(トラブルやコスト)」は前触れもなく襲ってきます。
誰かが用意してくれた道を、ただなぞるだけのつもりでいると、道が見えなくなった瞬間に足が止まる。
そして、そのまま「遭難」してしまうんです。
2. アイゼンで、自分のトレースを刻む
雪山で前へ進むには、アイゼンを氷にしっかりと食い込ませ、自分自身の足で「トレース(足跡)」を作っていかなければなりません。
他人の足跡を追いかけるのではなく、自分の体重を乗せて、一歩ずつ足場を固めていく作業です。
「これさえやれば上手くいく」
そんな他人の成功法則を鵜呑みにするのは、晴天の時に誰かが残した足跡を、猛吹雪の中で探すようなものです。
それが成功したのは、その人にそのルートを歩き切るための「装備」や「体力」が、たまたまその時に備わっていただけのこと。
条件が違えば、その足跡はあなたを崖へと導くリスクにすらなります。
3. 経営資源の「精査力」を磨く
個人事業主として、あるいは一人の人間として。
持っている経営資源(体力・スキル・資金・時間)のバランスは、人それぞれです。
自分に何が足りていて、何が余っているのか。
それを冷徹に精査する力は、絶対に持っておくべきだと思っています。
今の自分に、その急斜面を登り切る体力はあるか?
予期せぬ足止めを食らった時の「予備」はあるか?
吹雪の中でも現在地を見失わない「判断基準」を持っているか?
これらを自分自身で客観的に判断し、準備を整える。
それが、雪山という名の市場で生き残り、頂上に立つための最低限の作法です。
4. 最後に足を出すのは、自分自身
途中で休んだり、誰かに癒やしをもらったりすることは必要です。
でも、どれだけサポートを受けても、最後に自分の足を前に出して、頂上まで辿り着けるのは自分自身しかいません。
急には登れないからこそ、日々のコンディショニングと、自分に合ったペース配分が重要になります。
体力が尽きてからでは遅いんです。
他人の地図ではなく、自分のトレースを刻む
他人の地図を眺めるのは、もう終わりにしましょう。
まずは、自分の装備を点検する。
そして、あなた自身のアイゼンを打ち込み、あなただけのトレースを刻み始める。
自分の足で一歩ずつ踏みしめて登ったからこそ、頂上で出会える景色は、きっとあなたにとって唯一無二の宝物になるはずです。


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